キラ 初めて、あいつを見た時、俺は声を出すことも忘れていた。 何も考えられなかった。 サイやトールの話すら耳に入らなかったぐらい、俺はあいつに見とれていた。 それほどまでに、綺麗だった。 背中の半分まで伸ばしているしなやかな栗色の長髪と、吸い込まれそうな深い紫色の瞳、 友人と楽しそうに話しながら微笑むその顔が可愛くて・・・。 けれど、はじめて見た気がしないのは何故だろう・・・? 深い紫色の瞳に、あの微笑・・・・・・。 確かに、どこかで見た事がある・・・・・・。 いつ・・・・・・どこで・・・・・・? 頭の中で考えていながらずっと彼女を見つめていた。 俺の視線に気づいたのか、彼女がゆっくりと俺の方に振り向いた。 目があった。 彼女が一瞬驚いていた表情をしたのは俺の気のせいだったのだろうか・・・? すぐに天使のような俺の心が和むほどの微笑を浮かべてみせていた。 その笑顔があまりにも可愛くて、俺は顔が、耳まで赤くなってくるのを感じた。 彼女の友人が話しかけ、彼女は自然に俺から瞳を戻して再び話に戻っていく。 そんな彼女達を、俺はしばらく眺めていた。 耳元で俺の名前を大きく呼ばれて我に返った。 「って、俺の耳を壊す気か!!」 「呼びかけても応えてくれないお前が悪い!」 その通りだった。 俺は耳をさすりながらしぶしぶ謝罪した。 「誰を見てたんだ?」 「いや・・・、あの子、ここの子だったかなと思って・・・」 「うん?」 俺の向けた先につられて見ると、トールとサイが彼女を見た。 「あぁ、キラ・ヤマトか?」 「知っているのか?」 「知ってるも何も・・・・。俺の彼女」 トールの言葉に、俺は思わず声を出してしまった。 「なにっ!?お、お前の・・・!?」 「あわわ、お、おちつけって!冗談だってば!!ただの友達だって!」 俺の剣幕に驚いたのだろう、トールがあわてて訂正した。 「本当か!?」 「本当だってば!だいたい、俺はミリィという恋人が・・・・・」 「あたしがなんだって?」 突然の女の子の声に振り向く俺とトール。 薄い茶色のくせのある髪をした少女が怪訝そうな表情を浮かべて立っていた。 「ミリィ」 「じゃれつくのはいいけど、あまり顔を近づかないでくれない?これじゃあ、誤解されるわよ?」 言われて、俺達がどの状況になっているのかを、改めて気づいた。 あわてて離れる俺とトール。 「あ、すまん」 「いや・・・・俺のほうこそ」 気まずそうに謝りあう俺達に、ミリィが小さくため息をついていた。 「で、どうしたの?」 ミリィがトールに話の内容を尋ねると、俺が止めようとしても遅かった。 「いやぁ、こいつ、キラ・ヤマトのこと気になっているみたいでさ」 「あら?キラのこと気になるの?フレイ」 「そうじゃなくって!いつから、ここにいたんだ?ゼミの子だとは聞いていない」 「え?」 俺の話を聞いたミリィたちはお互いの顔を見合わせて、首をかしげた。 ややあって、サイが思い出したかのように手のひらにぽんっと握り拳を叩いた。 「あぁ、そっか、同じゼミといっても、ほとんどすれ違っていたし、この間まで家の都合でしばらくいなかったから、 知らないのも無理ないな」 「というか、キラはあまり目立つ行動はしないほうだからね」 「ま、ちょうどいいじゃないか。遅かれ、フレイが女に興味を持つなんて、珍しいし」 「珍しいって、なんだよ。今まで女に興味がないなんて思われてたのかよ?」 「実際その通りだろ?」 間をあけずに、あっけらんと答えるトールに、俺は内心ため息をついた。 トールの言葉に否定の声をだしつつ、心の中では彼女の名前を呟いていた。 キラ・ヤマト・・・・・・か・・・・・・。 今度、話してみようかな・・・・・・? 続く...?
あとがき・・・(反転) H17.3.23up ・・・・・短いっ! 一応、「ヘリオポリス」の続き・・・なんですけど・・・・ そうですねぇ、キラとフレイは一つ違いなんだけど、逆なんですよ。 つまり、本編ではキラが年上になっているんですけど、これはフレイが年上ってことになっているんです。 ・・・・・・で、フレイは女に興味ないんです。 というよりも、友人達と遊ぶのが好きだし、プログラムをいじるのも好きなんですよね。 あと・・・・あぁ、これ以上言ったら、ネタばれになるからやめておきますね。 さてと、フレイはどのようにキラに声をかけるのかなっ?? ぜったいこんなのないっ!て思われるかも知れないけど、まぁ、続きをお楽しみにっ!(苦笑) |