お前が殺した
深い闇の中で、フレイは一人だった。 周りを見回すと、色すら見当たらなく、ただ黒だけが存在している空間に、フレイだけが異物として存在していた。 一人だということが、フレイの心を染め付けられる。 何故、フレイがこんなところにいるのか、わかっていた。 これは、夢だ。 フレイの目の向こうに白いぼやけた人型が現れた。 次第に姿がはっきりと現れたとたん、フレイの目が大きく開かれた。 「親父・・・・・・」 思わず呟くフレイに、親父と呼ばれた男は軽蔑の表情を浮かべていた。 『これで、わかっただろう?コーディネーターは愚かな存在だ。あの女なぞ、お前をたぶらかしているに過ぎん』 あの女とは、聞くまでもなかった。 『お前がためらったからこそ、私はあの戦艦で炎に包まれて・・・焼け付くように・・・・』 それ以上聞きたくなかった。 フレイは両手で耳をふさぎながら首を振った。 それでも父の声はフレイの頭の中に届いていた。 『お前が、私を殺したのだ。あの時、トリガーを引けば、防げられた。私と、私の部下が・・・・』 わかっていた。 わかっていたけど、できなかった。 あの機体には・・・・キラの・・・・。 『愚かな、我が息子よ。お前を育てたこの私の苦労は無駄に終わったという事だ。』 『お前の手ではないが、防げなかったのも、お前も、あの女も、愚かだ。幸せになることすらこの私がさせない・・・・』 「だめだ!キラは・・・キラはっ、俺が守る!!俺が親父を殺したのは認める!だが、俺のキラを・・・キラを苦しめるのはやめろ!!」 『苦しむ?私があの女を苦しむとは予想外だな。あの女を苦しんでいるのは、ほかならぬ、お前なのだ・・・・』 フレイは心が軋むような激しい痛みに襲われた。 『私の言ったことを覚えているがいい・・・・』 「うるせぇ!うるせぇ!!」 父の言葉に衝撃を受け、否定しきれない自分に気づいていながらも、狂ったようにわめくフレイ。 父がフレイを冷かに見つめながらゆっくりと父の姿が闇に溶け込んで消えていった。 父がいなくなっても、フレイは心が壊れてしまいそうな状況に陥り、無意識にキラを求めた。 「キラ・・・キラッ!どこにいるんだよ!俺は・・・・どうすればいいんだよ!!そばにいてくれよ・・・・!!!」 子供のように泣きじゃくるフレイ。 この深い闇の中で一人ぼっちで、泣き続けるフレイ・・・・・。 そんな彼の頭にあたたかい感触を感じた。 あたたかい・・・・・ フレイは顔をあげると、顔が見えない。 腕までしか姿を見せていない。 ただ・・・この撫でられる手が、とてもあたたかく感じた。もっと・・・・・。 それが合図だったのか、撫でられていた手がふっとフレイの頭から離れていく。 フレイは無意識に離れていく手をつかもうと手を伸ばしていく。 その手にふれたところから光があふれて、フレイの視界を覆いつくした・・・・・。 あとがき・・・ H18.5.11up ・・・・・中途半端なお話ですみません・・・・。 これは、アスランとフレイとの戦いで、アスランによってフレイの父を殺された後、 フレイは悪夢に悩まれる状況です。 しかし・・・・。 あちこちとストーリーが行ったり戻ったりする状況になるでしょう・・・。 その点に関してはどうか、お許しを・・・・。 思いたって作ったものですから・・・・。 さて、こんな物語を最後まで読んでくださり、感謝いたします。 また次の話へ・・・。 |