ティーダの心境





   「祈り子、いるんだろう?」


    天を見上げてつぶやくと、彼の後ろに祈り子が姿を現して声が返ってきた。


   『どうしたの?ティーダがぼくを呼ぶなんて…』


    ティーダは頭をかいていた。


   「いや、多分、俺から呼ぶのは最初で最後かもしれないから……少し、話をしたかったんだ」


    祈り子は頷いた。


   「俺な……。未練はいっぱいある。後悔はない。今なら、そう思えるよ」

   『……ごめんね……』

   「何回も言うなよ。お前らも大変だったんだろう」


    祈り子は首を振った。


   『ううん。違うの。ティーダ。好きな人と一緒にいられないってこと……』


    その言葉にドキリとしたが、不思議と穏やかだった。祈り子の前だからか…。


   「いいんだ。俺は好きなやつが悲しむよりも、幸せになってほしいんだ。ただ、そばには俺はいない。    ただそれだけだよ……。あいつは二回も苦しみを味わうだろうが、きっと大丈夫。新たな幸せを見つけ    てくれるさ……。ユウナたちがいるからな」

   『ティーダ……』

   「ははっ、照れくさいよな。……でも、本当は、俺の手で幸せにしたかった……!」


    祈り子はティーダに近づいて、触れることすら出来ないが、抱きしめるように……。


   『泣いていいよ』


    ティーダは声をあげずに、涙を流していた。




   「サンキュ、つきあわせてもらって……すっきりしたよ」

   『ううん。……必ず、終わらせて……』

   「ああ」

    祈り子が消え、ティーダはしばらく星空を見上げて、想いをはせるように……。
    すぐに踵を返して、ユウナたちのいる飛空挺へ、決意を秘めた瞳を宿して歩き始めた。


    ティーダの後姿を見送っているのは、スフィアの泉に宿る光のみだった……。









--- Fin ---




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       後書き…    麓樹




    またもや、妄想文です。だめですね…。意味わからないですよね…。
    ごめんなさい…。
    これはシンに突入する前の出来事です。
    最後の決戦に向かう前にティーダが心のけじめをつけるために祈り子との話をする…。
    あと、『あいつ』とはユウナではないです。多分わかると思いますが…。
    こんな話につきあわせてくれてありがとうございます。
    感想を頂ければ嬉しいです。