リュックは思わずスタジアムの外の向こうに目を向けると、その何かを見たとたんに、その瞳が大きく見開かれた。 それはリュックにとって見知った存在だった。ある言葉を発することなく、再び放たれた閃光がリュックに迫られようとしていた。 リュックは条件反射で顔を両腕でふさぎ、閃光に包まれるのを感じた。 --- 3 --- 『きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!』 『うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??』 『ぁぁぁぁぁ・・・・・・・・って、・・・・・・・え?』 自分の声以外の声を聞いて、自分が今の状況を見回した。 そこは見慣れたブリッジの中だった。 『・・・・・・夢・・・・だったのかぁ・・・・・・』 にしてはリアルな夢だと思った。息切れが荒い事に気づいて、ゆっくり深呼吸をしてから横のほうを見ると、モリガンの頭をした青年がしりもちをつきながらリュックを見上げた。 『・・・・・・アニキ、なにしてんの・・・?』 『なにって・・・・お前が突然叫ぶからびっくりしたじゃねぇかっ!!』 リュックの問いかけに、アニキと呼ばれた男が怒鳴り返した。 『ははははは、ごめん、ごめん、ちょっと夢見てたんだぁ』 あははとごまかし笑いをして頭をかいているリュックに、アニキははぁっとため息をついた。 『全く・・・・。なんかうなされていたから起こしてやろうと思った矢先に、突然叫ぶもんな。びっくりさせんなよ・・・・・』 ぶつぶつと呟くアニキの言葉に、リュックは一瞬わからなかったが、アニキが心配していたのだと飲み込めたが、何も言わなかった。 『で、今のところどこらへん?』 さっさと話を切り替えるリュックに、アニキは気にした風もなく伝えた。 『あぁ、今さっき廃墟の遺跡についたぞ』 『わかった』 そう答えると、リュックは椅子から立ち上がり、傍らにおいてあるグローブを両手に装備し始めて甲板にでた。 そこにはすでに四人の銃をもつ者が集まっていた。 リュックが姿を現すと、四人が振り向いた。 そのうちの一人が銃を肩に担ぎながら口を開いた。 『おう、リュック、準備は終えたぜ。いつでも出発できるぜ』 『うん、じゃぁ、アニキ、ここはお願いするね』 リュックが傍らにいるアニキに振り向いて一言伝えると、頷いていた。 リュックたちは甲板を後にして廃墟の遺跡へ足を踏み出していった。 進んでいく中で、リュックは頭の中で先ほど見た夢の事を考えていた。 あれは、間違いなく《シン》だった。夢にまで出てくるなんて、久しぶりだ・・・・・。 それに、あの子・・・・・・のいった言葉は、どういう意味だろう・・・・・・? 『全ての物語の終わりが近づき、新たな物語が始まるときに、自分の世界に帰れるよ。』 《シン》によってたくさんの人たちが死んで、新たな世界が始まるとしたら、あれは、1000年前の滅びた瞬間なのだろうか・・・。 だったら、何故、自分はあんな夢を見たんだろう・・・・・? そういえば、あの少年・・・ティーダ、最後に目があったような気がしたけど・・・・・無事なんだろうか・・・・・。 そこまで考えて、小さく頭を横に振った。 たかが夢なのに、そこまで真剣に考える自分に気づいたからだ。 リュックの様子に気づいたのか、傍らにいた者が声をかけた。 『リュック、どうした?』 呼びかけられてリュックはなんでもないと答えてそれきり何も言わなかった。 何か問いただそうな口をしていたが、あえて追及する必要はないと思ったのか、引き下がっていた。 ばかな、あれは夢だ。 自分が見た夢のティーダがこの現実にいるわけがないじゃない。 夢の人がこの世界にいるなんて、架空の世界に出てくるものぐらいじゃないか。 ・・・・でも、何故だろう。 あの夢を見たせいか、いつもと違う事が起こりそうな気がする。 しかも、近いうちに・・・・・・? それは予感・・・・。 そして、それはもうすぐ現実のものとなる。 しかも、ご丁寧に魔物との戦いの最中で・・・・・。
続く...
後書き(反転)
H17.5.11up
終わった・・・・・。序章だけで3つに分けてしまったが、いかがでした? ちょっと途中や最後は無理が来たかな? 廃墟の遺跡って、ゲームをした人ならわかるでしょう。 入る前のリュックたちの状況がちらほらと・・・・。 アニキも少しだけど出てるし、留守番になっているし、うーん。 ま、こういうのもありだろう。(苦) では、次の話の予定は・・・・・未定ですが、またお会いしましょう。 ご意見、ご感想、ご指摘をいただけるとありがたいです・・・・。 |